堕天
創舞 内田悠介
人には生きている限り「欲」があり、「欲」に左右されて生きる。「欲」があるから前に進み生きることが出来る。「欲」があるから堕落もする。それは生き物である限りいつの時代も変わらない。この作品では、善く生きようとする強い欲によって堕天した天使が、悔い改め善く生きようともがき苦しむ姿を通して、人間の「欲」について表現する。
波紋〜水面に現る人生〜
創舞 菅田瑛里花
そこにはただ水がたゆたんでいる。そして、一滴の滴によって起こる事象。その一瞬が人生であり、また水の持つ中性さが男女を表し彩る。
もし、自身の人生を重ねた時、私は何を思うだろうかという想いを込めた作品。
舞へる煙
創舞 早川珠美亜
幼い頃、親に手をひかれ夕刻の浅草寺で目にした亡者送り、ふと思い出した時この題材に決めました。「亡者送り」は、毎年一月十八日に一年の天下泰平と五穀豊穣、玉体安穏、万民豊楽を祈る行事の一部です。そこに登場する松明と立ち昇る煙、祈祷の熱気に想像を膨らませました。煙の中に舞っている者とは…仏であり人であり魂であり…
感染症の為中止となった多くの祭り、病床の逼迫に未開拓のワクチンと中止は仕方がないものの疫病退散など祈りの意味がある祭りの中止は違和感も覚えました。その時に感じたモヤモヤをこの作品にぶつけ踊り納めます。
花明り
創舞 田村杏奈
戦時中、戦地にいる夫を待つ妻の思い、不安や寂しさ、人に頼ることが出来ない孤独感、そして家族を託された使命感、その強さとは計り知れないもの。女性の強さ、辛さ、それを乗り越えたものが表現できる美しさは今も昔も変わらない。この作品では九段(靖国神社)に咲いている桜を作品の背景として、いつの時代の女性もどんな苦難があろうとも強く、美しく踠きながら生きる様子を踊る。
てふ、てふ
創舞 川瀬妃奈
鴨長明の「発心集」の説話から、諦めない心とモノを愛でる心に感銘を受けて創作。女主人の父は生前深く花を好んだことから、死後、蝶となって娘のもとに現れる。
ここまで踊りを続けたことの意味や有難み、継続することの素晴らしさをこの作品に投影して踊る。
くみひも〜結〜
合同作品
この世は「陰」と「陽」で出来ている。光と影、太陽と月、心と体のように。人との関わりの形骸化や争いなどが起きる世の中で、「くみひも」という尊敬や想い、祈りを持って編まれるもののように、時には絡み合い、結び合う。現代社会の中で人々はどれだけ結び合うことが出来るのだろうか。
想いを込めて大切に表現する。